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先日の新聞に「京都市内の分譲マンション、最高価格7億4900万を含む第一期販売は即日完売!・・中でも3億9700万が4倍、3億2900万が5倍の抽選倍率だった・・京都では“億ション”の販売が市場最多を更新し続けている!」との記事がありました。
 その記事を見た知人が、ため息まじりに「単なる住居で7億円だ、やれ4億円だ・・そんなマンションを買う人はどんな人達ですかね?」と話しかけてきました。
 続いて、「7億の部屋が売れると、いくら儲かるの?」と、かなり真顔で質問をされました・・分譲事業の儲けの仕組みが知りたいということです。

 上記のような特例ではなくあくまで一般的な場合ですが、販売計画としては、粗利を20%前後見込みます。ただ、粗利の中から、チラシ・パンフレット・DMなどの販売ツール費用、TVCM・新聞やインターネット広告宣伝費用、モデルルームの建築費用、そして営業員の手当てなど販促経費が差し引かれます。

 売れ行きを左右する「広告宣伝費全般」は、総売り上げの3~5%が一般的な目安とされています。ちなみに、販売戸数が20戸と100戸では、広告費総額を5倍も多くかけることが出来ます。
 また、モデルルームの建築費用や借地代なども2000~3000万程度は必要になります。したがって、小規模の分譲は採算が合いにくいのです。

 仮に計画どおり建築完成までに「完売」したとしても、粗利20%の中から販促費を引き、更に諸経費を引くと利益率は7~10%程度にしかなりません。
 但し、この利益は完成時の収入です。この完成に至るまでの前段階として、土地探しを開始して、購入し、計画図面、建築確認申請、建築工事・・などで、1.5~2年を費やします。
 したがって完成時4億円の利益確保ができたとしても、年間2億円の換算になります。
 更に大変なのは・・もし、総戸数の7~10%以上が売れ残った場合は、実質的な利益が出ないことになります。そして、その部屋は「売れ残り」というだけで、売却が長期化することはよくあることです。
 売れ残りが多く長期化すると、たとえ最終的に完売し、事業収支は黒字の見込みが立っていたとしても、建物完成後に支払うべき返済が滞り、黒字倒産という事態も想定されます。
 このように分譲マンション事業は、一時的に大きな利益を得られる代わりに“ハイリスク”なのです。
 傍目には派手で、すごく儲かるように見えますが、そんなに甘くない事業です・・「隣の芝は青い!」ということでしょうか?

福沢諭吉は次のような教訓を残しています。
  『経営者は、一時的な利益を誇ることなく、一時的な損に驚くな。
   恐れ慎むべきは、日々、月々、少しずつの損である。
   ひたすら目指すべきは、継続する少しずつの利益である。
   一時的な損は、継続的な少しずつの利益で補うことはできるが、
   継続的な少しずつの損は、一時的な利益で補うことは困難である。』

ややもすると、取引の単位が大きくなりがちな不動産業界にとって、貴重な遺訓ではないでしょうか?

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